「顧客ランク分け」の目的と重要性
顧客ランク分けとは、顧客を購買金額や購買頻度などに応じて分類することをいいます。顧客ランク分けは法人の営業活動において重要です。
顧客をランク分けすると、マーケティング戦略や施策が打ち出しやすくなります。ランク分けした顧客の特性を把握することで、有効なアプローチを明確にできるためです。
結果として、売上を効率的に伸ばせる他、営業活動における時間や労力のコストカットにもつながります。
顧客ランク分けの一例として、次の表のようなランク名と条件があげられます。
ランク名 | 条件 |
ロイヤル顧客 | 購入単価・利用回数がともに高い。
売上の上位を占めている。 |
一般顧客 | 購入単価と利用回数のうち、どちらか一方が高い。 |
新規顧客 | 1回目の購入をしてくれた。 |
見込み顧客 | まだ購入までには至っていないが、Webサイトを閲覧するなどしていて今後購入してくれる可能性がある。 |
休眠顧客 | 以前に購入してくれたことがあるが、最終購入から一定期間アクションがない。 |
ほかにも、ロイヤル顧客と一般顧客との間にもう1つランクを設けるなど、分け方はさまざまです。
顧客ランクの分け方と実践方法
顧客ランク分けは営業戦略を明確にできることから重要だと説明しましたが、どのような流れでランク分けを実施すると良いのでしょうか。顧客ランク分けの実践方法について順を追って説明します。
顧客ランクを分ける仮説や目的を明確にする
顧客ランク分けは、「顧客ごとにアプローチを変えることで売上が上がるのではないか」との仮説のもと行います。
そのため、顧客ごとの対応を必要としない定額のサブスクリプションサービスではランク分けの必要はありません。反対に、さまざまなコースや値段設定がある場合などは顧客ランク分けが重要といえます。
顧客ランク分けを行う際は、ランク分けの根拠となる仮説を立て、目的を明確にすることが重要です。顧客ランクを付けることが目的にならないようにしましょう。目的を達成するためのランク分けを意識します。
ランクを付ける基準を考え大まかに分ける
顧客ランク分けは基準を設けて行います。顧客をランク分けするための指標となるのは、次のような要素です。
・企業や事業の規模:規模によって提案する商品が異なることがあります
・年間予算:商品ごとの年間予算のことです
・過去の取引実績:自社や自社の商材に対しての顧客の関心度がわかります
・客単価:1回の購入価格や1人当たりの購入単価を見ます
・利用頻度:顧客が自社の商材を購入する頻度のことです
・直近の取引時期:長期間取引がないより直近で取引があったほうが良いです
・関係値:上層部のコネクションのことで法人間の取引で特に重視されます
・拡大余地:拡大余地が小さいか大きいかを見ます
顧客ランク付けの基準は、平均値が不透明なものや平均値にバラツキがあるものを選択すると良いです。バラツキのある基準を選択することで、全体的な売上の改善を期待できます。
基準を設定したらグループ分けが必要です。顧客分析の方法として、RFM分析があります。RFM分析は、顧客の最終購入日(Recency)、購買の頻度(Frequency)、累計購買金額(Monetary)を見てグループ分けする方法です。RFM分析によって、最大9つのグループに分類できます。
顧客ランクの条件を細かく設定する
顧客ランク分けを実施するには、どこかで線引きしなければなりません。ランク分けは金額などではなく、パーセンテージを使用すると良いでしょう。
特に、売上の比率で分けるのがおすすめです。売上上位20%が全体の売上の8割を占めるというパレートの法則に従ってランク分けするのも良いでしょう。例えば、売上上位20%をSランク、売上中位40%をAランク、売上下位40%をBランク、などとする方法です。
さらに細かなランク分けが必要なときは、購入単価や購入頻度などのほかの指標も組み合わせてランク分けします。
戦略に落とし込んで実行していく
顧客ランク分けを実行したら、顧客ランク別にアプローチ施策や改善点を出します。アプローチする顧客ランクは、費用対効果で優先順位をつけると良いでしょう。
費用対効果の薄いランクにアプローチをしても売上の伸びは大きく期待できません。数字や売上が見込めない顧客に多くの時間をかけるより、数字が見込める顧客にターゲットを絞り戦略的にアプローチしたほうが効果的です。
ケースバイケースではありますが、一般的に、ランクの高い優良顧客に注力した施策を優先して実行するのが良いでしょう。特に、顧客の維持に問題があるケースでは効果的です。
顧客ランク分けの精度を上げる分析手法
顧客ランク分けの精度を上げるには、データを分析する必要があります。分析にはさまざまな手法があり、より効果的な顧客ランク分けのためには自社に適した方法を選ぶことが重要です。では、データ収集の方法や、分析手法の選び方についてみていきましょう。
顧客ランクに必要なデータの把握
顧客のランク分けのために必要なデータは、主に購買履歴や使用頻度などです。アンケート結果なども顧客のランク分けに活用できる場合があります。
効果的に顧客のランク分けをするためには、それなりのデータ量が必要なため、多様なデータの収集が必要です。
また、取り扱っている商品やサービスの種類によって、必要なデータの種類は異なります。顧客のランク分けの目的を考慮して、必要なデータとそうでないデータを把握しておきましょう。
データの収集・統合
必要なデータが明確に定まったら、そのデータを収集しましょう。すでに自社内にあるデータだけで済む場合にはスムーズですが、足りない場合にはツールなどを活用する必要があります。
そして、データが揃ったら、分析しやすいような形式に統合して整えておきましょう。
分析手法を選ぶ
よく利用される分析方法としては、RFM分析・CPM分析・デシル分析・NPS分析などがあげられます。活用目的に合わせて、適した分析方法を選ぶことが大切です。
RFM分析は、購入時期・購入頻度・購入金額のデータをもとにして、優良顧客・休眠顧客・新規顧客などをグループ化する分析方法です。購入時期が新しく、購入頻度は高く、購入金額が高いほど優良として扱います。
CPM分析は、基本的な分析方法はRFM分析と同じですが、RFM分析よりも詳細にグループ化するのが特徴です。
デシル分析では、一定期間内の購入金額を基準にして、顧客を10段階にグループ分けをします。効果的に分析するためには期間の区切り方が重要です。
NPS分析では、企業のブランドに対するロイヤルティを定量的に評価してグループ分けします。
顧客ランクを分ける際の注意点
顧客ランク分けは、注力したい顧客にターゲットを絞れる点で効果的です。しかし、ランク分けやランク分け後の施策には注意点もあります。顧客ランク分けの際に気を付けたいふたつのポイントを見ていきましょう。
顧客ランク別にサービスの質は下げない
売上のパーセンテージで顧客ランク分けをした場合、顧客ランクが下であるほど売上には貢献していないことになります。
優良顧客にはより良いサービスを提供することが大切ですので、ランク別に、人員など投資するリソースの差別化は必要です。しかし、リソースの差別化は行っても、サービス自体の質を低下させてしまうのは良くありません。
ランクが低いという理由でサービスそのものの質を下げると、サービスを提供する企業やブランドのイメージが低下してしまうためです。場合によっては顧客が離脱してしまうこともあります。ランク分けしても顧客であることに変わりありませんので、サービスの質は落とさないようにしましょう。
顧客ランク分けは定期的に見直す
顧客ランクは不変のものではありません。実績や顧客との関係値が変化することで属するランクとかい離してしまうこともあります。顧客ランクはあくまでその時点のものであって、定期的に見直しを図ることが大切です。
ランク分けの見直しのタイミングは、実績と顧客との関係値が高まってきたときです。ランク分けの戦略にある程度効果を感じた段階で見直しをすることによって、より良い戦略を練ることができます。
まとめ
顧客ランク分けは、一般的に売上のパーセンテージを重視して行います。ランク分けすることで、ランクごとに適したマーケティング戦略や施策を打ち出すことが可能です。より有効なアプローチがしやすくなります。
顧客ランク分けを行うには、これまで説明したように基準の設定やグルーピング、そこからのランク分けが必要です。しかし、基準の設定やグルーピングを行うにも調査を要します。
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