【ツール別】IT導入補助金の導入事例と、申請時の注意点を紹介

企業のIT化を支える支援制度のひとつに「IT導入補助金」があります。中小企業、小規模事業者のIT化を後押しする制度ですが、ITツール導入のノウハウを持たない場合は難易度が高い取り組みです。 当記事では、IT導入補助金の導入事例と合わせて、補助金申請時の注意点を紹介します。ITツールの導入を検討の際は、ぜひご覧ください。


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IT導入補助金とは

IT導入補助金とは、ITツールの導入を対象に、費用の一部を補助してもらえる制度です。正式名称は「サービス等生産性向上IT導入支援事業」といい、業務の効率化や売り上げの向上を目的としたITツールの導入を支援します。支給対象となるのは中小企業、小規模事業者です。

補助の対象は、ハードウェア購入費やパッケージソフトの本体費用、クラウドサービスの導入の初期費用など。導入できるITツールは既定のものに限られます。

この制度は各年度で変更があり、令和元年度にはセキュリティ対策推進枠が追加されました。更に、令和3年度にはデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤>導入類型・複数社連携IT導入類型)が追加されています。

現在(令和5年度)の補助枠は次の4つです。

・通常枠(A・B類型)
・セキュリティ対策推進枠
・デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
・デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)

支援を受ける要件など、詳細は各補助枠で異なります。申請する際はIT導入支援事業者として登録されているITベンダーのサポートを受けられるため、相談しながら行うことをおすすめします。

支援を受ける際の流れは以下のとおりです。

1.自社で導入したいITツールと、IT導入支援事業者を選定する
2. 「gBizIDプライム」アカウントを取得し、「SECURITY ACTION」を実施する
3.交付申請をする
4.ITツールの発注~支払いを行う
5.事業実績報告書を提出する
6.補助金の交付
7.事業実施効果報告を提出する

詳しくは、以下のサイトをご覧ください。
申請・手続きの概要(IT導入補助金2022)」(一般社団法人 サービスデザイン推進協議会)

IT導入補助金の対象となる「生産性」とは

先述したように、IT導入補助金は生産性を高めるツールが対象です。

生産性とは、「粗利益(売上-原価)/(従業員数×1人当たり勤務時間(年平均))」により算出された労働生産性を意味します。労働生産性の向上とは、労働者一人当たりが1時間で生み出す利益を増加させることです。

例えば、経理担当者が手作業で行っていた伝票処理は、「会計ツール」を導入するとデジタル化できます。会計ツールによって業務時間の短縮に成功すれば、短時間で同業務をこなしたことになり、生産性が向上したといえます。

なお、生産性の向上を目的とした背景には「人口減少」による人材不足があります。

将来、労働力が少なくなったときに、企業が成長するためには1人当たりの生産性を向上させなければなりません。生産性を向上させるには、業務の自動化や効率化が必須であり、ITツールの導入が欠かせないのです。

IT導入補助金を活用した効果とは

ITツールを導入すると、業務の自動化や情報のデジタル化が実現します。一方、導入には多額の費用がかかったり、設備やシステムの整備が必要だったりと、中小企業には障害が多いのも事実です。

IT導入補助金を活用すると、費用負担を軽減しつつITツールを導入できます。ITツールを導入するハードルが下がるため、業務効率化や労働生産性の向上に前向きになれるでしょう。

予算が少ない企業でも、売上を増加させる施策を実施することが可能になります。

IT導入補助金を使った導入事例

IT導入補助金の制度により、多くの企業がITツールの導入を検討できるようになりました。ここでは、ITツールの導入により生産性の向上や効率化を成功させた導入事例を紹介します。

RPAツールの導入により大幅な業務時間の削減を実現!

通信ネットワーク関連のA社は、RPAツールを導入し、月で約25時間もの残業時間の削減を実現しました。

A社の課題は、月末に行う膨大なデータの再入力が、特定の社員しか処理できない属人化された業務であることでした。

この課題を解決したのが、RPAツールです。RPAツールの導入をきっかけに、業務プロセスの見直しと自動化をすすめ、入力時間の短縮やミスの削減で、大幅な業務時間の削減につながりました。

RPAは、コスト削減ツールのイメージが強いですが、データの可視化による業務改善にも高い効果があります。

販売管理システムの導入により業務効率化を実現!

建築関連のB社は、担当者の異動のため事務処理に遅れが生じ、日々大きく変動する仕入れ価格への対応も難しくなっていることが課題でした。原因は、業務の属人化です。担当者にしか分からない部分が多く、情報共有のスピードに影響している状態でした。

また、後継者へ引き継ぎやすい環境を整えるため、取引情報の管理や社内のルールの統一化を図る必要もありました。

そこで、ITベンダーと自社の業務の流れを見直し、現状把握を行った結果、ITベンダーから提案を受けたのが、販売管理システムの導入です。

販売管理システムは、発注から原価計算まで情報を一元管理でき、業務の効率化による時間短縮が可能となります。得意先の受注予測や仕入価格の推移、仕入れ先の選定まで、売上につながるデータを得ることができるようになりました。

クラウド顧客管理ツールの導入により勤務時間の短縮に成功!

C公認会計士・弁理士事務所は、顧客情報やスタッフとの業務の共有ができない問題を抱えていました。将来、顧客が増えたときに情報を管理できなくなる危機感も感じていたそうです。

そこでIT導入補助金制度を利用して、開業時に導入した安価なシステムの見直しを行いました。課題解決のために導入したITツールが、クラウド顧客管理ツールです。クラウド顧客管理ツールは、顧客データを一元管理できます。

他のシステムと連動した顧客情報の管理が可能となったため、重複した情報入力業務がなくなりました。顧客情報の管理が効率化され、勤務時間の短縮を実現できたのです。

補助金を使ったツール導入時の注意点

補助金を使ったツール導入にあたって、以下の2点を押さえておきましょう。

・適切なITツールを選定する
・条件を満たしているかチェックする

ひとつ目は、ITツールの選定です。適切なITツールを導入するためには、自社の状況や課題を把握しなければなりません。

導入の目的や自社の課題を明確化しないまま、ITベンダーに依存してツールを決定してしまうと、効果を得られない可能性があります。

自社の課題や状況の把握が難しい場合は、最寄りの商工会議所やよろず支援拠点へ相談するのもひとつの選択肢です。

ふたつ目の注意点は、ITツール導入時の条件です。申請すればすべての企業が補助金を受けられるわけではありません。

IT導入補助金を利用し、ITツールを導入するときには下記の条件を満たしている必要があります。

大分類1:ソフトウェアの「業務プロセス(1)(2)」を含むこと。
通常枠A類型は1プロセス以上を含むこと。
通常枠B類型は4プロセス以上を含むこと。

各ツールで改善できる業務プロセス数によって、申請できる類型が異なります。

補助金申請時には、ITベンダーのサポートを受けられるため、導入を検討しているITツールがどの条件を満たしているか確認しましょう。

IT導入により効果的なツールの選び方を知りたい人はこちらもご覧ください。

営業組織を強化するためにやるべきこと|効果的なツールの選び方

まとめ

IT導入の効果を最大限に得るためには、まず自社の課題を把握することが重要です。経営課題を解決できるツールを選べれば、業務の効率化が図れ、売上や生産性が向上できます。

営業活動の効率化を目的としている場合は、リストクラスターMapsの導入をご検討ください。GoogleMapと連携してスマホやタブレットでも利用できる営業支援ツールです。

顧客をランク分けしてマッピングできるため、効率的な回り方を模索することが可能です。営業担当者の行動量を増やし、成約率アップにつなげることができるでしょう。

資料請求はこちら

なお、IT導入補助金の申請には期限があります。ITツールの導入を検討している場合は、早めに準備を行いましょう。